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成長期の歯並び相談は「今すぐ装置」と決めつけず整理することから
子どもの矯正をいつ始めるかは年齢だけでは決まらず、あごの育ち具合や歯の生え替わり、本人が装置を使えるかをあわせてみて決めます。 成長期だからと急いで装置を入れるのではなく、まずは様子をみてよい状態か、早めに手を打つほうがよい状態かを知ることが出発点です。この記事では、あごの育ちと歯並びの関係、検査で確かめること、受診の前に家族で整理したい通院や費用のポイントをお伝えします。
この記事の要点まとめ
- いつ始めるかは年齢だけでなく、あごの育ちや歯の生え替わり、噛み合わせをふまえて相談します。
- 成長期の治療でめざせることや、あとから治療が追加になる可能性を、検査の結果とあわせて確かめます。
- 様子をみる時期、装置の使い方、通う回数や費用を、家族で整理してたずねましょう。
開始時期は、口の状態と本人・家族の希望を分けて相談する

当院では、医学的に妥当とされる治療がそのまま患者さまの望む治療とは限らないと考えております。お口の状態・お子さまの気持ち・ご家族の生活条件をすり合わせる対話を重視しています。
上顎と下顎で成長の時期が違い、年齢だけで決めにくい理由
上顎と下顎では発育の時期が異なるため、年齢だけで矯正の開始時期は決められません。下顎は身長がよく伸びる時期にあわせて大きくなり、目安は女の子で10〜15歳ごろ、男の子で12〜18歳ごろです。成長がすすむあいだに、噛み合わせが変わっていくこともあります。
ただし、男の子と女の子の差や一人ひとりの差が大きく、同じ8歳でも骨の育ち方はそれぞれ違います。首の骨(頸椎)の育ち具合などから、あごが伸びる時期を見きわめ、治療をいつ始めるかを調べた研究もあります1。
学校歯科検診で指摘されたときに確かめたい生え方と噛み合わせ
学校の歯科検診で歯並びの相談を勧められたときは、永久歯の生え方と上下の噛み合わせを確かめます。たとえば、下の永久歯が乳歯の内側から重なって生えている、歯が並ぶ隙間が足りない(叢生)、下の前歯が上の前歯より前に出ている(反対咬合)、普段から口が半開きになりやすいといった状態です。
また、乳歯が早く抜けたまま隙間が長く放置されると、隣の歯が傾いて永久歯のスペースが狭まることがあります2。保護者さまご自身の矯正経験がそのままお子さまに当てはまるとは限らず、遺伝だけでなくお口の使い方や生え替わりの順序も関わります。
経過観察になる場合と、早めに矯正を検討する場合の分かれ目
生えかわりの途中で一時的に歯が重なっているだけで、あごの幅や上下の前後のずれに大きなかたよりがないときは、しばらく様子をみることがあります。一方で、反対咬合や上顎前突(出っ歯)など、あごが育つ向きや前歯の当たり方に影響しやすい噛み合わせは、早めの対応を考えたほうがよいことが多い状態です。
なお、混合歯列期の早期治療が長期的な安定にどう関わるかは、研究でも見解が分かれており根拠が限られる面もあります3。経過観察を選ぶ場合も、次にいつ診察を受けるか、家庭でどんな変化(噛みにくさや前歯の当たり方の変化など)があれば再相談するかを歯科医院で聞いておくと落ち着いて見守れます。
ポイント
矯正を始めるかどうかは、顎や歯の状態だけでなく、お子さまが医院や装置に慣れそうか、ご家族が通院を支えられるかを分けて整理し、歯科医師とすり合わせることが第一歩です。
成長期の矯正で目指せることと、検査・装置で確かめること
成長期の矯正(Ⅰ期治療)をはじめる前に、この時期にめざせることとできないこと、検査で調べること、装置を無理なくつけつづけられるかどうかを確かめておきましょう。
成長期の治療で目指せることと、後から治療が必要になる可能性
成長期の治療は、顎の骨格の発育へ働きかけたり、永久歯が生えるスペースを誘導したり、口呼吸や舌の位置といった口腔機能の改善を目指したりするものです。たとえば深い噛み合わせ(過蓋咬合)でも、成長期には奥歯が伸びる力を利用する考え方がある一方、成人期では前歯を沈める方法が検討されるなど、時期によって進め方が異なります。
ただし、成長期の治療だけで全ての歯並びが整い完了するとは限りません。骨格のずれが大きい場合や永久歯が生えそろった後の状態によっては、仕上げとしてブラケット矯正やマウスピース矯正を行う二段階治療(Ⅱ期治療)が必要になることもあります3。
歯並びを画像で確認する検査と、顎の成長を調べる検査
お口の状態を把握する検査には、歯列の形をみる検査と骨格を調べる検査があります。当院では口腔内スキャナー「iTero element」を導入しており、特殊なカメラでお口の中を多方向から撮影して3D画像に取り込みます。この画像は、歯並びや噛み合わせの確認と矯正後の歯並びのシミュレーションに使っています。従来の粘土のような型取りが負担になりやすい方にも配慮した機器で、その場で画像を確認できます。
一方、上下の顎の位置の関係を調べるには、セファログラム(セファロ)と呼ばれるレントゲン写真が使われます。なお、3D画像のシミュレーションは治療計画を理解するための目安であり、将来の歯並びの結果を保証するものではありません。お子さまにどの検査が必要かは診察時に確認してください。
装置を決める前に、使い続ける条件と費用を確認する
当院では矯正装置を一つに決め打ちせず、床矯正、ブラケット矯正、マウスピース矯正などの選択肢から、ご本人の希望、お口の状態、費用への懸念を踏まえて方法を提案し、選んでいただいております。
取り外し式の装置(床矯正やマウスピース型の装置など)は、食事や歯みがきの際に外して清掃しやすい反面、家庭での装着時間を守れるかが経過を左右します。装着初期の違和感や発音のしづらさ、就寝中に口が開いて装置が外れてしまう場合の対応も事前に聞いておきましょう。
また、矯正治療では歯が動くときの痛みや違和感のほか、まれに歯の根が短くなる、歯ぐきが下がるといったことが起こる可能性もあります。固定式の装置では、頬の内側や舌に装置が当たって傷や口内炎ができることがあり、歯もみがきにくくなります4。むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなるため、ていねいな歯みがきと定期的なメンテナンスが大切です4。
なお、小児矯正の多くは健康保険が使えない自由診療ですが、唇顎口蓋裂などの生まれつきの病気や顎変形症、永久歯が生えてこない状態の一部などは、決められた医療機関で保険が使えます。費用は医療機関や装置によって異なり、一般的には、費用は診察や検査のあとに説明されます。 相談や検査、装置、毎回の調整、治療後の保定にかかる費用のどこまでが含まれるか、Ⅱ期治療へ進むときの費用の扱いは、受診する歯科医院で必ず確かめてください。
一宮市の歯科医院へ相談する前に、家族で整理しておきたい質問
小児矯正は通院が年単位で続くこともあるため、一宮市内で相談先を探すときは、お口の診断だけでなく診療体制やご家族の通院段取りも合わせて確かめておくと通院の見通しを立てやすくなります。
相談前に確認したい矯正の診療体制
当院では、矯正の診療経験がある歯科医師が、矯正治療を監修する体制をとっています。受診を考えるときは、はじめの相談や精密検査の結果の説明をどの歯科医師がするか、矯正の相談日や予約の枠がどうなっているかを前もって聞いておくとスムーズです。
きょうだいの付き添いも含めて通院の段取りを確認する
下のお子さまを連れて通院する場合、待合や診療中の過ごし方も気がかりになりやすい点です。当院ではキッズスペース、おむつ台、ベビーラックを用意し、平日の午前診療時間には託児サービスを実施しているとご案内しています。
ただし、小学生のお子さまが学校帰りに通う時間と、託児サービスをしている時間が合うとは限りません。使うための条件や矯正をみてもらえる曜日、駐車場の使いやすさ、数か月に1回の様子見や月1回ほどの調整のときに、だれが送り迎えできるかもあわせて聞いておきましょう。
経過観察・通院頻度・総額の見通しで聞いておきたいこと
初回の相談では、ご家族の迷いや生活上の条件も遠慮なく伝えて構いません。聞き漏らしを防ぐため、次の項目をメモして持参すると整理しやすくなります。
| 確認したい項目 | 相談時に聞いておきたい質問の例 |
|---|---|
| 開始時期と経過観察 | 今すぐ始める必要があるか。経過観察なら次回はいつ、何を確認するか |
| 家庭での観察点 | 待つ間に家庭で気をつける癖や、早めに再受診すべき変化は何か |
| 装置と本人の負担 | 候補になる装置の1日の使用時間、違和感や破損時の対応、通院頻度 |
| 費用の内訳と総額 | 検査・装置・調整・保定のどこまで含まれるか。Ⅱ期治療へ移行する場合の扱い |
ポイント
「今すぐ始めるか」を決めるためだけでなく、経過観察の計画や装置の負担、通院・費用の見通しを家族で共有するために初診相談を活用しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 顎が小さい人の歯並びはどのようになっていますか?
A. 顎の幅や奥行きに対して永久歯が並ぶスペースが不足すると、歯が重なって生える叢生(ガタガタした歯並び)や八重歯、乳歯の内側から永久歯が生える状態になりやすくなります。ただし、歯の傾きによって狭く見えている場合と、顎の骨そのものの大きさが関わる場合があるため、レントゲンや模型・スキャン画像などで歯科医師が診断します。
Q2. 小児矯正の平均費用はどのくらいですか?
A. 小児矯正の費用は、医療機関や使う装置、Ⅰ期治療だけで終わるかⅡ期治療まで続くかによって大きく変わるため、ひとつの平均額では示しにくいのが実情です。多くは保険が使えない自由診療で、一般的には、費用は診察や検査のあとに説明されます。装置そのもののお金のほかに、検査や診断、毎回の調整、治療後の歯を保つ装置、将来Ⅱ期治療に進んだときの追加のお金がかかるかどうかも、相談のときに歯科医院へ聞いておきましょう。
Q3. 顎の成長はどの年齢まで続きますか?
A. 上顎と下顎では育つ時期が異なり、下顎は身長がよく伸びる時期にあわせて大きくなります。目安は女の子で10〜15歳ごろ、男の子で12〜18歳ごろとされています5。ただし、男女差や個人差が大きく、年齢だけでは判断できないため、歯科医院ではセファロなどの検査を用いてお子さまごとの成長段階を確認します。
Q4. 矯正治療で一番辛い時期はいつですか?
A. 装置をはじめてお口に入れた直後や、調整したあとの数日間は、歯が動くときの締めつけ感や痛みが出やすい時期です。装置が頬や舌に触れる違和感や、口内炎、赤みや腫れが出ることもあります。
また、取り外し式の装置では、毎日つける時間や歯みがき・おそうじの習慣がつくまでの最初の数週間を、ご本人やご家族が負担に感じることがあります。強い痛みや口内炎が続くときは、がまんせず歯科医院で装置の調整を相談してください。
参考文献
1. Baccetti T, Franchi L, Toth LR et al. Treatment timing for Twin-block therapy. American journal of orthodontics and dentofacial orthopedics : official publication of the American Association of Orthodontists, its constituent societies, and the American Board of Orthodontics (2000) PMID: 10935956 / DOI: 10.1067/mod.2000.105571
2. 岡山大学病院 歯と口のトラブルマップ | 病名から探す. https://www.hsc.okayama-u.ac.jp/hospital/dnavi/disease.html
3. Almugla YM, Shekhar MG. Does Early Orthodontic Treatment in Mixed Dentition Improve Long-Term Outcomes? A Systematic Review and Meta-Analysis. Medicina (Kaunas, Lithuania) (2025) PMID: 41155841 / DOI: 10.3390/medicina61101854
4. 矯正歯科 | 公立大学法人 九州歯科大学附属病院. https://www.kyu-dent.ac.jp/hospital/specialty/orthodontic/
5. 歯列不正 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト. https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000216/
6. 研究者詳細 – 楠元 淳也 https://ris.kuas.kagoshima-u.ac.jp/html/100007545_ja.html
愛知県内歯科医院勤務
日本歯科医師会
日本歯周病学会
愛知県歯科医師会
一宮市歯科医師会
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