こどもの健やかな成長には、歯並びや噛み合わせ、顔の骨格の発育が大きく関わっています。その中でも顎の成長や噛む力は特に重要です。
現代のこどもは、食文化の影響などでやわらかい食べ物に囲まれた生活を送ることが多いです。そのため、顎の成長が足りず昔に比べて顎が小さくなりやすい傾向があります。
その結果、歯がきれいに並ぶスペースが足りず、歯並びが悪くなるといった問題につながることもあります。
ここでは、こどもの顎や噛む力を育てるための工夫としておやつや食べ物の選び方について詳しく解説していきます。
目次
■なぜ、こどもの顎や噛む力を鍛える必要があるのか
◎顎の成長と歯並びの関係
顎の骨は成長期に大きく発達します。
この時期にしっかりと噛む習慣を身につけていないと、顎の発達が不十分になり、永久歯がきれいに並ぶスペースが確保できません。
その結果、不正咬合(歯並びの乱れ)につながる恐れがあります。
◎噛む力が健康に与える影響
噛むことは歯並びだけでなく、全身の健康にも関わっています。
よく噛むことで唾液が分泌され、食べかすなどを洗い流す自浄作用などが働くため、むし歯予防にも効果があります。
また、食べ物を小さく噛み砕くことで胃腸への負担が軽くなり、消化吸収の助けになります。さらに、脳への刺激となり、集中力や記憶力の向上にも効果があるといわれています。
■顎を鍛える食べ物・おやつの選び方
◎硬い食べ物で自然に顎をトレーニング
顎の筋肉を鍛えるには、ある程度硬い食べ物を取り入れることが有効です。
例えば、煎餅は噛みごたえがあり、しっかりと顎を使うことができます。
スルメや小魚、ナッツ類もおすすめですが、年齢によっては喉に詰まるリスクがあるため、与える際は大きさや量に十分注意しましょう。
◎グミやガムで楽しく噛む習慣を
こどもに人気のおやつとしてグミやガムがあります。
これらは比較的長い時間噛むことができるため、顎の運動にも役立ちます。
特に砂糖不使用やキシリトール入りのガムであれば、むし歯予防にもつながり一石二鳥です。ただし、食べ過ぎや飲み込みには注意が必要です。
◎野菜や果物をおやつに取り入れる
硬めのにんじんスティックやりんご、梨なども、こどもの顎を鍛えるおやつとして効果的です。
自然な甘みがあるため、こどもも楽しんで食べられます。
特に皮付きのりんごは噛みごたえがあり、歯や顎の発達の助けになります。
■噛む力を育てる日常の工夫
◎同じ硬さばかりではなく多様な食感を
顎を鍛えるために硬いものばかり食べさせればよいと考えがちですが、それだけでは栄養の偏りや咀嚼のバランスが崩れることもあります。
柔らかい食材や普通の食感の食事と組み合わせ、さまざまな噛み方を体験させることが大切です。
◎食事の時間を大切にする
テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食べ」では、しっかり噛むという意識が薄れてしまいます。
食事の際は家族で会話を楽しみながら、ゆっくり時間をかけて噛む習慣をつけましょう。
◎姿勢も噛む力に影響する
猫背やうつ伏せで食べると、正しく噛む動作ができません。
食事の時は背筋を伸ばし、足がしっかり床につくように椅子やテーブルの高さを調整してあげることも大切です。
■おやつで顎を鍛えるときの注意点
◎年齢に合った食材を選ぶ
硬いおやつや食べ物は顎のトレーニングに効果的ですが、小さなこどもには危険を伴う場合があります。
3歳未満ではナッツや硬い飴などは避け、成長段階に合わせて安全な食材を選びましょう。
◎むし歯予防を忘れない
グミやガム、せんべいなどは噛む力を鍛えるのに良い反面、砂糖が多く含まれていたり、歯にくっつきやすい食べ物は、むし歯リスクが高まります。
おやつの後は必ず歯みがきを習慣にし、キシリトール入りのガムなどを上手に利用するのがおすすめです。
◎楽しみながら続ける工夫
顎や噛む力を鍛えることは一度きりではなく、毎日の習慣が大切です。
おやつタイムに「今日はこのせんべいを食べてみよう」「次はこのグミに挑戦しよう」と楽しみながら続けることで、自然にトレーニング効果を得られます。
【普段の生活の中で自然に取り入れられる工夫を】
こどもの顎や噛む力を鍛えることは、歯並びや噛み合わせのためだけでなく、全身の健康や発達にとっても大切です。
硬いせんべいやスルメ、小魚、グミやガム、果物や野菜など、噛みごたえのあるものを取り入れるとよいでしょう。
ただし、硬いものだけを食べればよいわけではありません。柔らかいものや普通の食感の食べ物もバランスよく組み合わせ、楽しく食べる習慣を作ることが、こどもの健やかな成長につながります。